読書メモ

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ゲーム理論・入門 新版 (岡田章) 第02章 選択と意思決定

ゲーム理論 新版 が難しすぎたので、ゲーム理論・入門 新版--人間社会の理解のために (有斐閣アルマ) から読むことにした。

ゲーム理論・入門 新版--人間社会の理解のために (有斐閣アルマ)

ゲーム理論・入門 新版--人間社会の理解のために (有斐閣アルマ)

  • 作者:岡田 章
  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2014/09/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

「第2章 選択と意思決定」では、ゲーム理論の前提となる期待効用仮説とベイジアン仮説、確率論の基礎知識を概括している。

合理的意思決定の問題を、効用関数の最大化問題として捉える

意思決定の前提として、選択可能な選択肢がある。これを選択対象という。そして、各選択対象には明確に比較可能な良さや好みがあり、これを選好という。選択対象間では、AよりもBの方が好きな場合は、 A \succ B と表し、AとBが同じぐらい好きな場合はこれを無差別 (indifference)と呼び、 A \sim B と表す。こういった選択対象間の選好の関係を選好関係と呼ぶ。

選好関係には、完備性推移性が成り立つと仮定する。完備性は、すべての選択対象xとyに対して、 x \succeq y x \preceq y が成り立つことであり、推移性とは  A \succeq B かつ  B \succeq C ならば  A \succeq C が成り立つことを言う。完備性はプレイヤーが選択対象の内容を知っていることを暗黙に仮定している。

選択対象xに対してある一つの数値が  u(x) が対応し、その数値の大小の順序が選好順序と一致するとき、 u(x)(序数的) 効用という。つまり、選好順序を数値化したものを (序数的) 効用という。ここで、関数  u を効用関数という。効用関数を使うことによって、合理的な意思決定問題を効用関数の最大化問題として定式化することができる。

期待効用仮説

不確実な状況下における、効用の期待値を期待効用という。意思決定者は期待効用を最大にする選択対象を選ぶという仮説を期待効用仮説という。

期待効用仮説が成り立つためには完備性推移性の他に、独立性連続性も必要となる。

  • 独立性:  P \succeq Q ならば、どのような確率  p に対しても、 pP + (1 - p) R \succeq pQ + (1 - p) R である。
  • 連続性:  P \succeq Q \succeq R ならば、 pP + (1 - p) R \sim Q となる確率  p が存在する。

リスクに対する態度

期待効用仮説を使うとリスクに対する態度を定式化することができる。

リスクを含む選択肢  P の効用  u(P) とリスクを含まない選択肢  Q の効用  u(Q) があり、計算上は  u(P) \sim u(Q) である時、

  •  u(P) \prec u(Q) の場合: リスク回避的
  •  u(P) \succ u(Q) の場合: リスク愛好的
  •  u(P) \sim u(Q) の場合: リスク中立的

という。

ベイジアン仮説

意思決定者が主観的に評価して定まる確率を主観的確率という。その確率が客観的に定まっていない事象を、特に不確実な事象という。不確実な事象を含む選択対象についての期待効用仮説は、ベイジアン仮説とも呼ばれる。意思決定者が主観的確率による期待効用を最大とするように選択対象を選択するという仮説。